2015年3月号【編集長から】
こんにちは、中央公論編集長の安部順一です。
仏週刊誌「シャルリ・エブド」襲撃事件、イスラム教過激派組織「イスラム国」による日本人殺害事件と、2015年は血なまぐさいテロで幕を開けました。もはや日本も無関係ではいられません。
今月号は「イスラム過激派テロと日本」で、宮家邦彦さんと佐藤優さんが緊急対談しました。中東調査会の高岡豊さんの「西側メディアが増幅させた」との指摘も見逃せません。
特集「習近平路線は成功するのか 巨大市場中国の急所」は、「新常態」「反腐敗」など習近平政権が進める改革に焦点を当てました。不動産バブル崩壊の懸念、広がる格差など課題山積なうえに、日中首脳会談が実現しても、依然ぎくしゃくする日中関係。中国はどこへ進むのか、日本はどう向き合えばいいのか、柯隆、津上俊哉、加茂具樹、阿古智子の各氏ら中国通が分析します。経済同友会副代表幹事の藤森義明さんと日中産学官交流機構特別研究員の田中修さんによる対談「曲がり角を迎えた中国市場」も必読です。
さて、1人あたりの医療費が地域によって違うのをご存知ですか。最高の高知県は62.5万円で、最低の千葉県(40.1万円)に比べ、22.4万円も多く医療費を使っています。経済財政諮問会議民間議員でサントリーホールディングス社長、新浪剛史さんの「驚愕の都道府県別リスト 医療費の地域間格差に切り込め」は、詳細なリストをもとに、その実態を明かし、どうすべきか提言しています。
3月号恒例の「新書大賞」。8回目となる今回は、弊誌が発信源となった増田寛也編著「地方消滅」(中公新書)が大賞に輝きました。20位までのランキングと得点はもちろん、竹内洋さんら目利き29人による新書評も見物です。
最後にちょっとしたクイズを。長田暁二さんの連載「唄う戦後70年史」が今回取り上げた美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの三人娘。3人の共通点は何でしょう? 答えは本誌で。一部のネット書店でも購入できます。