2015年5月号【編集長から】

 こんにちは、中央公論編集長の安部順一です。

 先日、桜を観に京都へ行ってきました。醍醐寺から蹴上インクライン(傾斜鉄道)、京都御所、祇園白川、八坂神社・円山公園と回りながら、桜がなぜかくも日本人の心をとらえるのか、改めて考えました。今月号の特集「さまよう宗教心〜現代日本人は何を求めているのか」は、そんな私たちの精神世界を様々な角度から探ります。

玄侑宗久さん×中沢新一さん、鏡リュウジさん×若松英輔さんの対談に加え、田中恆清・神社本庁総長、矢澤澄道・「月刊住職」編集長などが、震災後の宗教の状況からパワースポットブームまで語り尽くします。

空前の原油安が続いています。新興国の経済低迷で、供給過剰になっているのが要因のようですが、なぜOPECは減産に踏み切らないのか、米国のシェール革命はどうなったのか、原油安で困る国はないのか、特集「原油安の地政学」では、田中直毅・国際公共政策研究センター理事長、田中伸男・前IEA事務局長らが、産油国間の政治的な思惑を読み解いていきます。

さて、1978年4月4日って、何の日かわかりますか? キャンディーズの解散コンサートが後楽園球場で行われた日なのです。というわけで、シリーズ戦後70年は特集「アイドルが輝いていた頃」。篠山紀信さんの「"激写"する僕も一緒に時代を駈けぬけてきた」に始まって、嵐山光三郎、泉麻人、内田樹、ねじめ正一、橋本治、村松友視、四方田犬彦の各氏ら25人の「私の好きなアイドル」など、盛りだくさんにあの頃を振り返ります。篠山さんが撮った山口百恵、松田聖子らのグラビアも付いています。

 最後にちょっとしたクイズを。月村了衛さんと春日太一さんの異色対談「本物の時代劇がなくなって、日本は駄目になった」。テレビ時代劇の「鬼平犯科帳」や「水戸黄門」は、毎回脚本家も演出家も違うのに、なぜ全話が同じテイストを保てるのでしょう? 答えは本誌で。一部のネット書店でも購入できます。