2015年12月号【編集長から】
こんにちは、中央公論編集長の安部順一です。
2400万人が視聴したテレビ討論会って、想像できますか? 2016年米大統領選挙へ向けて、本格的な論戦の火ぶたが切られた8月の共和党指名候補者討論会の話です。NFL(National Football League)の優勝決定戦、スーパーボウル並みで、オバマとクリントンが対決した2008年の民主党討論会の2倍以上にもなります。理由は明らか。世論調査で一時独走した不動産王による「トランプ現象」です。「泡沫で、いずれ消える」との見方は有力ですが、泡沫が3ヵ月もトップを守ったことも、政治経験のない著名候補者がこれほど出馬したこともありません。特集「アメリカの鬱屈」は、阿川尚之さんと猪木武徳さん、久保文明さんによる鼎談、森本あんりさんと中山俊宏さんの対談などによって、1年後に迫った大統領選を通じ、米国社会の深層に迫ります。
先月、うれしいニュースが舞い込んできました。
日本人2人のノーベル賞受賞、ラグビーW杯での日本代表の活躍。「研究者、経営者、教育者、社会的リーダー ノーベル賞受賞、大村智博士の四つの顔」は、大村さんのノーベル賞受賞を3年前から予言していた科学ジャーナリスト、馬場錬成さんだけが知っている大村さんの素顔が明かされます。「ラグビー日本代表 躍進の秘密」はエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチを招いたラグビー日本代表ゼネラル・マネージャー(GM)、岩渕健輔さんが「世界で勝つ」ために何をしたのかを語ります。
最後にちょっとしたクイズを。特集「『疑似科学』と科学のあいだ」。法政大学教授の左巻健男さんと小説家の川端裕人さんの対談で、小学校の道徳授業などで使われているとして問題視されている「人の言葉がわかる水」って、どのような話でしょう? 答えは本誌で。一部のネット書店でも購入できます。