2016年9月号【編集長から】

月刊誌の編集作業は発売月(9月号だと8月)の前月に行います。この7月は
<海外>
3日 バングラディッシュで、日本人7人を含む多数が犠牲になったテロ発生
12日 オランダ・ハーグの仲裁裁判所が、南シナ海の中国主権を認めない判決を示す
14日 仏ニースのテロで80人を超える死者発生
15〜16日 トルコで軍部がクーデターを起こすも失敗

<国内>
12日 永六輔さんなくなる
11日 参院選で与党大勝
15日 天皇陛下が生前退位の意向をお持ちと報道される
26日 相模原市の知的障がい者福祉施設で、入所者19人が刺殺される
31日 東京都知事選で小池百合子氏が当選

と大きなニュースが目白押しでした。

このほかにも、米大統領選で民主、共和両党の候補が決まり、安倍総理が28兆円規模の経済対策を発表し、日銀は追加緩和に踏み切っています。政治、経済、国際関係とも激動した月といっていいでしょう。

そんなこともあって、通常は2本の特集を4本に増やしました。

その中でも大きく扱ったのは、天皇陛下に関連したニュースです。

天皇陛下は皇太子時代に、昭和天皇の名代として英エリザベス女王の戴冠式に参列されています。対日講和条約が発効した翌年の1953年6月2日。陛下は19歳、女王は27歳でした。

陛下にとっては平和の尊さが身に染みる外遊だったのだと思います。
「戦争により荒廃した国土から訪れた者として、訪問した多くの国の人々が豊かに生活していることに胸をつかれ、そのことが深く心に残りました」。
2012年の女王即位60周年祝賀行事にあわせて、こんな思い出を披瀝されています。

この祝賀行事に参加した国家代表のうち、59年前の戴冠式にも参列したのは、天皇陛
下と当時18歳だったベルギーの国王アルベール二世の2人だけです。
アルベール二世は2013年に退位しています。女王陛下はいまも公務を超人的にこなされていますが、今年卒寿(90歳)を迎えました。

年月は誰にも平等です。特集が少子・高齢化時代を前提とした新しい皇室のあり方を考える材料になればと思います。 (編集長・齋藤孝光)