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2016年11月号【編集長から】

<他誌では読めないノーベル賞・大隅教授のスペシャル対談/五木さんが見たミック・
ジャガー>

ビッグニュースが飛び込んできました。大隅良典・東工大栄誉教授のノーベル生理学・
医学賞単独受賞です。
11月号では、一躍時の人となった大隅教授が、同じ細胞学者で、歌人としても著名な京
都大学名誉教授、永田和宏氏と対談しています。
受賞対象となった「オートファジー」を世界で初めて肉眼で観察した時の感動、細胞の
分解という着手当時は日が当たっていなかったテーマを研究対象に選んだ理由、科学す
ることの喜びや研究に成果主義を持ち込む弊害などをたっぷりと語っています。科学の
本質に迫る対談です。

もう一つの目玉は、五木寛之さんの新連載「一期一会の人びと」。五木さんと世界のレ
ジェンドたちの交流録で、初回の今回はミック・ジャガーを取り上げます。
ほとんど予備知識がないまま、ぶっつけ本番同然に対談に望んだ五木さんですが、その
言葉はミックの心の襞に届いたようです。
紙の上に再現される細かい会話のやり取りから、ミックの人柄や息遣いまでが伝わって
きます。
五木さんにしか書けない、まさに珠玉のエッセイです。

メーンの特集は中国の「次の一手」を占いました。
「交渉とは、血を流さない、武器を使わない"戦争"である。知識と知恵と精神力を使
って利益を勝ち取る行為である。この三つの要素は交渉開始から終了までを通じ、勝敗
に決定的役割を果たしている」。

中国の国有企業が作ったとされる「対外技術導入の手引」の邦訳版を読んだことがあり
ます。その一節を引用しました。
交渉を共通の利益を見出す作業ではなく、勝負事と見做す本音が透けて見え、彼我の考
え方の差を思い知らされます。「手引き」には日系企業との商談の成功例も複数掲載さ
れ、溜息がでました。

オランダ・ハーグの仲裁裁判所に南シナ海の領有権を全否定された中国の習国家主席で
すが、ホストを務めたG20では、譲歩することなく、国際的な批判の合唱を抑え込みま
した。尖閣周辺に漁船や公船を大量に集中させる一方、アメリカとは環境問題で手を握
るなど硬軟を使い分けました。中国流の「強さ」が際立った局面かもしれません。

一方で、「弱さ」も露呈しています。

党内での権力闘争はまだ続きそうですし、民主派への弾圧を強めている内政も波乱含み
です。経済は減速しています。香港の反中運動は・・・?
政治学者、陸海空自衛隊OB、中国経済の専門家や新聞記者が多角的に論じています。

(編集長・齋藤孝光)