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2017年1月号【編集長から】

<現実を踏まえ、時代と切り結ぶ>

お陰さまで本誌は創刊一三〇年を迎えました。現存する国内の雑誌では最長寿とされています。古きが故に貴いとは申しませんが、消長の激しいメディアの世界で、総合月刊誌という形態を維持したまま、他のどの雑誌よりも長く続いていることは、編集部が密かに誇りとするところです。

名は体を表すのたとえ通り、草創期の名編集長・滝田樗陰は吉野作造を育て、大正デモクラシーにも大きな影響を与えましたが、革命思想のような急進的な思想からは距離を置き、自由主義より左に傾くことはなかったと社史は伝えます。二代目社長の嶋中雄作は昭和四年一月号の「中央公論の本領に関する宣言」で「わが中央公論それ自身は右派でもなければ左派でもない(略)未だ其の何れにも属せず私かに去就に迷うて居る一層多くの大衆の存在を先づ念頭に置かざるを得ぬ」と述べています。

私たちはこのDNAを引き継ぎ、極論を排して、時代と切り結び、世の中を先導する議論を生み出していきたいと願っています。世界を不確実性が覆う今、近現代を見続けた本誌の役割はより重くなったと感じています。まだまだ老け込んでいるわけには参りません。

記念号となる今号は、論壇を特集しました。それは論壇誌の存在を問うことと同じですから、内心穏やかならざる面がありましたが、叱咤激励を多く頂戴し、勇気付けられました。一層の努力をお約束しようと思います。

創刊からこの間、戦争や震災、当局の弾圧、編集上のトラブルや他メディアの勃興などで、存亡の窮地に陥ったことは一度ではありません。一三〇年を永らえることができたのは、ひとえに本誌の価値を認め、ご支援くださった多くの読者のおかげです。この場を借りて、心からの感謝を表したいと思います。

 編集長・齋藤孝光