2017年7月号【編集長から】
<報道も科学もファクトが重要だ>
肺に入れても害のないフロンガスが冷蔵庫から消えたのに、金属やカーボンの塊である飛行機が飛ぶのを禁止されていない理由は、人類に科学があるからでしょう。五感では把握しかねる事実を教える科学と、そこから合理的な結論を導く知性があって、現代文明は成り立っているのでしょう。
ところがそこに政治や党派性が絡むと、「事実」も「知性」も失われかねないというのが、今月号の二大特集を流れる通奏低音です。
マケドニアのルポは衝撃的でした。大学生らが小遣い稼ぎのためにネットでついた嘘が、米大統領選の投票行動を歪めました。そうして誕生した新大統領は、政権批判のニュースを「フェイク」のレッテルを貼ることで封じ込めようとしています。
豊洲の移転議論では、「知性」が後景に追いやられました。
安全かどうかの判断を脇に置いて安心について議論すれば、五感で騒ぐ井戸端会議と同じです。政治が説得責任を放棄して、とにかく不安をゼロにと叫べば、やがて飛行機だって飛べなくなるでしょう。
私たちメディアも反省する必要がありそうです。既存メディアへの不信はフェイクニュースを生む一因となっているようですし、科学を飛び越して不安を煽りたてる報道が冷静な議論を妨げてはいないかと懸念する声も聞きます。党派性を離れた科学の目は、メディアにも必要だと、自戒を込めて思います。
<中央公論デジタル・ダイジェスト>
バックナンバーの特集を電子化しました。
<ふるさと納税の見直しはここから始まった>
— 中央公論編集部 (@chukoedi) 2017年6月1日
『ふるさと納税の本末転倒』 (中央公論 Digital Digest)
霞ヶ関、自治体関係者に衝撃を与えた雑誌の特集を電子化。
片山善博, 石破茂, 田中良, 葉上太郎, 池田宜永
https://t.co/Z5VPHzxM35 pic.twitter.com/I13RGuUwQi
「空き家」が東京を蝕む (中央公論 Digital Digest)
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2017年5月25日
藻谷浩介
https://t.co/CH2K5g5DeP
AIが問い直す、人間が生きる意味 人工知能VS人間は、将棋でも日常生活でも? (中央公論 Digital Digest)
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2017年5月25日
羽生善治
https://t.co/0II3GEOQT2
「脳卒中死亡 衝撃の地域格差」
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2017年5月19日
(中央公論 Digital Digest)
全国2次医療圏別死亡率を初公開!
東北のみならず、西多摩、茨城、栃木の一部
も死亡率が高い。脳卒中は時間との勝負。
あなたの生存率は医療圏の実力次第だ。https://t.co/m9wyxZuGeV pic.twitter.com/085K5zjNlM
認知症患者が引き起こすトラブルの責任を家族はどこまで持つべきか。
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2017年5月20日
「中央公論」電子版「認知症トラブル 家族の責任」
(和田行男,米村滋人,五十嵐禎人,安藤優子) 。
発売中です。https://t.co/G4EuufY3oe pic.twitter.com/i8J4NC3B6s
日テレ・ニュースエブリで紹介!
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2017年5月13日
「がん死亡」衝撃の地域格差 (中央公論新社)
がんは地域によって死亡率が違う
衝撃の全国3442次医療圏別リスト+部位別ワースト30を初公開。
大阪市と東京下町で死亡率が高いわけは?その他の地域は?https://t.co/XZJFdkL24Q pic.twitter.com/vTMa6R6AfP
落語が死んだ日 (中央公論 Digital Digest 早坂隆著)
— 読売新聞YOL (@Yomiuri_Online) 2017年5月21日
江戸時代から庶民を笑わせてきた「落語」。この愉快な伝統話芸にも、戦争によって暗い影が差し、いくつかの噺ができない時代があった。"禁演落語"の歴史をひもとく。https://t.co/p1Ye7PMi79 pic.twitter.com/xePELlT9OB
今日の隆盛の陰で、何があったのか?
— 中央公論編集部 (@chukoedi) 2017年6月6日
戦時下で中止に追い込まれた大会が、
復活を遂げたわけは?
戦時下で「最後の箱根駅伝」と呼ぶべ
き大会が催されていた事実は、
あまり知られていない。
書籍化のもとになった雑誌記事を電子化。https://t.co/kWhQVEGGfD pic.twitter.com/4hQ6TdYEeW
「終活 理想の最期を求めて」
— 中央公論編集部 (@chukoedi) 2017年5月9日
(中央公論 Digital Digest) 。
上野千鶴子、橋本治、結城康博、
赤沼康弘、長岡美代、村松静子、
永麻里各氏が死を迎えることの
意味と実際を教えてくれる本です。https://t.co/pYSiPL9USf pic.twitter.com/WpqYWqyM1i
編集長 斎藤孝光