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2018年8月号【編集長から】

2018年8月号【編集長から】
<「2人に1人が50歳以上」の時代に>
 78歳以上は車のハンドルを握っただけで逮捕されるようになり、買い物難民化した高齢者向けのタクシーを若者が運転する――。1980年生まれの作家、山内マリコさんが2030年を舞台に描いた短編「五十歳」です(中公文庫『2030年の旅』所収)。<選挙のたびに高齢者を優遇する政策やサービスが増える一方で......>。そんな描写に、政治に対する静かな怒り、諦めが感じられます。

 8月号の特集は、「ポスト2020年の大問題」です。日本人がこれまで経験したことのない急速な高齢化と人口減少が目前に迫っています。社会や経済、私たちの生活はどう変わるでしょうか。小泉進次郎、福田達夫、村井英樹の自民党衆院議員3氏による座談会は、「人生100年時代」にどんな政策が必要か幅広く論じます。9月の自民党総裁選に向けて、小泉氏ら若手ホープの大胆な提言は注目を集めることでしょう。

 そもそも、日本の急速な少子高齢化は自然に進んだわけではありません。団塊ジュニア世代の高校・大学卒業はバブル崩壊後の景気低迷と重なりました。この「就職氷河期」の深刻な影響を、我々は想像できなかったのではないでしょうか。

 有効な手立てが講じられないまま未婚者が増え、出生率は下がり、期待された第3次ベビーブームは幻に終わりました。元厚生官僚の山崎史郎氏は人口問題について「現在の動きが将来に大きな影響を与えるという特性を有している」と指摘します(中公新書『人口減少と社会保障』)。

 「東京五輪までは景気もなんとかなるだろう」という楽観論が語れるのも、あと2年です。「人生100年時代」には、社会保障政策はもちろん、家庭や企業のありようも相当に変わるでしょう。どんな準備が必要か。作家の想像力を超える、政治家の想像力が求められます。

 編集長 穴井雄治