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2021年4月号【編集長から】

 永田町には座談の名手がごろごろいます。特に古い世代の政治家に多いように思います。国会ではぱっとしない人でも、地元の公民館で開く小集会では、政界の裏話や自虐ネタ、武勇伝も織り交ぜてがんがん笑いを取る。有名人の名前も登場して「ここだけの話」が支持者と秘密の共有めいた空気を作り上げます。しゃべりのプロである政治家のサービス精神が、いかんなく発揮される場面です。東京五輪組織委会長を辞任した森元首相の「女性差別」発言にもそうした面はあったのでしょう。もちろん発言はアウトで辞任は当然です。ただ、今月号で二宮清純さんが指摘しているように、森氏が果たしてきた役割は大きく、その功績まで否定するのは行き過ぎでしょう。何よりこの問題が五輪開催に悪影響を与えることだけは避けてほしいものです。

 前回の東京五輪と聞いて思い浮かぶのは、小学校の教科書に載っていたセイロン(現スリランカ)のカルナナンダ選手です。一万メートル競技で何周も周回遅れになりながら一人でトラックを走り続けた話に、子供心に「格好悪くてもやりきることが大事なんだ」と感動したものです。現状では国威を発揚するような盛大で華やかな五輪にはならないでしょう。きれいごとで済まないことは理解しつつ、それでも五輪が楽しみです。地味でも格好悪くてもいいからやりましょうよ。

編集長:吉山一輝