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2022年9月号【編集長から】

★安倍元首相の通算在任期間は約8年8ヵ月で、長さだけで比較すれば、任期が2期8年までと決められて以降の米国の歴代大統領を上回る。訃報は瞬く間に世界を駆け巡り、米国では現地の7月8日朝から、バイデン大統領の指示でホワイトハウスはじめ政府・軍関連施設に半旗が掲げられ、民間のショッピングモールなども倣った。インドやブラジルは、国を挙げて喪に服した。首脳外交で重要なのは「会った回数」だと安倍氏自身が明かしていたと、政権を官房長官として支えた菅義偉前首相が、本号のインタビューで語っている。継続は力なり。

★在任中の実績だけが急逝に伴う衝撃の原因ではない。首相退任後も政界に君臨し続けた田中角栄、竹下登両氏以来ともいえる、久々の強力な「元首相」だったことは大きい。存命の元首相10人中6人はすでに政界を引退。現役の4衆院議員のうち今の与党は自民党の麻生太郎副総裁(81歳)と菅氏(73歳)で、67歳だった安倍氏より高齢だ。最近の安倍氏は体調が回復し、安全保障や財政をめぐり議論を仕掛け、最大派閥の領袖に就いて「数の力」も手にした。森喜朗元首相が本号で指摘したように「3期目」の覚悟はあると、少なくとも周りは見ていた。社会の分断を深めたのか、難局突破の起爆剤となったのか。いずれであっても晩節を見届けたかった。

 

編集長:五十嵐 文