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2022年11月号【編集長から】

★イギリスのエリザベス女王の国葬を中継で見ていたら、街中を通過する棺や、それを映し出す広場の大画面に向かって、市民が盛んに拍手や歓声を送っていた。お国柄の違いに最初はぎょっとしたが、亡くなる2日前までトラス新首相任命という大事な公務をこなし、市民に奉仕を続けた女王への称賛や労りを表すには、涙より拍手が似合う気もしてきた。舞台の幕が下りてもやまない喝采に似ている。

★中国では、女王に先立つ稲盛和夫氏の逝去が大きく報じられた。交流の深かった前原誠司氏が本号で語ったように、稲盛流の経営哲学は「利他の精神」であり、これが拝金主義と行き過ぎた競争に疲れた中国の経営者の心に刺さり、この10年ほどは翻訳された著書を読み解く会が頻繁に開かれていた。「ただし中国に影響を与える日本の経営者は稲盛さんが最後でしょう」とは知人の中国人記者。政財界を問わず「一強」を好まなかったという稲盛氏の遺訓は、中国にいつまで留まるだろうか。

★気づけば4号連続で追悼や故人にまつわる原稿を掲載し、小欄で紹介していた。安倍晋三元首相をはじめ国や時代に影響を与えた人物の訃報には、生きる者に故人を偲ぶ以上の思索を促す力がある。本号に池田嘉郎氏が寄せたゴルバチョフ氏の評伝は、旧ソ連から今のロシアへの変遷をたどるのに必読の一篇だ。

 

編集長:五十嵐 文