2024年8月号【編集長から】
★子どもが生まれ「共働き・共育て」生活に突入して変化したことはたくさんありましたが、一つが「家庭に"事務"が侵食してきたこと」でした。自治体に提出すべき申請書類や、保育園や学校から配られるプリントでリビングには紙の山。夫婦でオンライン・カレンダーを共有し、保育園や学童保育の送迎分担をスケジューリング。子どもが病気にかかれば午前6時になった瞬間に小児科のウェブ予約を行い、午後3時には翌日の病児シッターの予約......。書類記入、申し込み、時間管理に追われる毎日に、家庭が仕事場になったと感じることもしばしば。同時にそんな日々を通じ、行政が、社会が、地域が、どんなふうに回っているのか、巻頭対談の表現を借りれば「世界の神経構造」が見えてきたのは新鮮な体験でした。
★各種申請書類の作成などで会社の総務にお世話になることも増えました。一瞥しただけで目が拒否するややこしい書類を丁寧・迅速に処理してもらうと、バックオフィスが支えてくれるからこそ安心して働けることを痛感します。
★中公新書編集部から15年ぶりに中央公論編集部に復帰しました。前回在籍時はまだ入稿にフロッピーディスクやMOディスクを使用していたことを思い出すと隔世の感がありますが、古き良き伝統は維持しつつ、新しい風も取り入れてまいります。
編集長:田中正敏