2024年11月号【編集長から】
★小社刊行の中公新書で人気ジャンルといえば「歴史」。60年前の創刊初期にも『宦官』『科挙』といった名作が出版されており、人気は不変です。近年で印象的だったのは呉座勇一さんの『応仁の乱』の大ヒットとその後の「○○の乱」ブームですが、もう一つは世界史への関心の高まり。今号でも寄稿してくださった小笠原弘幸さんの『オスマン帝国』をはじめ『漢帝国』『神聖ローマ帝国』『ビザンツ帝国』といった「帝国もの」が話題に。『隋』『唐』など中国王朝史シリーズも好評です。(日本でなく中国の)『南北朝時代』や『アケメネス朝ペルシア』といった少々マニアックなテーマも版を重ね、読者の皆さんの知的好奇心の旺盛さに驚かされます。今号の特集が世界史をより愉しむ一助になりますように。
★文芸批評など多方面で活躍されている佐々木敦さんですが、私にとっては何より音楽レーベルHEADZ主宰者。CDやライブを通してTortoise、The Sea and Cake、Mouse on Mars、Ovalらの実験的な音楽に出会うことができました。世界中の音楽に容易にアクセスできる時代の「洋楽離れ」は不思議です。
★雑誌の校了が迫るなか、立憲民主党代表選、自民党総裁選が行われる綱渡りの進行でした。特集「石破新政権と日本のゆくえ」は転換期の今必読の力作ぞろいです。
編集長:田中正敏