2025年7月号【編集長から】
★小学生のころから、選挙の開票速報番組が大好きでした。理由を考えると、ゲーム「信長の野望」に熱中していたことと通じるように思います。選挙に現代の「国盗り物語」を見ていたのでしょう。年齢を重ね、政治が我々の生活に与える影響の大きさを知るとともに、知人が人生を懸けて選挙に挑む姿を見てきました。今や無邪気に面白がることはできませんが、それでもいまだに深夜まで、各選挙区の開票状況を追ってしまいます。
★この夏も東京都議会、参議院と注目の選挙が控えています。気持ちが盛り上がる、と言いたいところですが、不安が先行するのも事実。それは2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件以後も続く暴力、また選挙活動の妨害行為やSNSでの誹謗中傷など、日本の選挙そして政治を危うくする事態が止まらないためです。自由を尊重しながら、安全な選挙を実施できるのか。日本の民主主義が試される夏を前に、第1特集を組みました。
★今号で通巻1700号を迎え、表紙デザインを新たにしました。第2特集では気鋭の3氏が月刊『中央公論』に掲載された過去の名論文を紹介するとともに、論壇の歴史の中で小誌が果たしてきた役割を語っています。「中庸」「アンカー(錨)」そして「蛮勇」。座談会で挙げられた重要なキーワードです。意識して歩み続けたいと思います。