2025年8月号【編集長から】

★「広島の平和記念公園にブッシュ大統領自ら花束を手向けてもらいたい」。本誌20059月号に掲載されたジャーナリスト、松尾文夫さんの言葉です。ドイツと米英両国の「ドレスデンの和解」をモデルに、アメリカ大統領が平和記念公園を訪れて献花し、日米は永遠の和解を果たすべきだ、というのが松尾さんの年来の主張でした。最初にこの提案を聞いたとき、広島出身者として心を打たれながらも「夢物語」と感じたのが正直なところ。しかし周知のとおり、松尾さんの願いは2016年、オバマ大統領によって実現しました。自分は冷静に現実を見ているつもりで、シニシズム(冷笑主義)に陥っていたのではないか─。吉崎達彦さんの寄稿で紹介された松尾さんのニクソン分析を読みながら、そう自省したことを思い出しました。イラン攻撃を原爆投下になぞらえたトランプ大統領にも思いが伝わるとよいのですが......。

★世界経済に嵐が吹き荒れています。アメリカ発の混乱には戸惑うばかりですが、長いスパンで眺めれば分かることもあるのでは。第1特集では歴史をヒントに経済を見つめます。「日本人は本来、もっと強いはず」。神田眞人ADB総裁の叱咤激励に触れ、厳しい現実を認識することと、シニシズムに陥らずに挑戦することは両立するはずだとあらためて感じました。

編集長:田中正敏


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