2025年10月号【編集長から】

★身体を動かして汗をかいた後、温泉で疲れを癒やし、家族や友人とワイワイ話しながら冷たいビールを飲む。世の中いろいろあるけれど、そんな1日こそが「幸せ」だよな......などと考えていたところ、「現代日本は「欲求の充足こそが幸福の条件だ」と考える、ある種の単一宗教国家」との佐々木閑さんの言葉に全てを見透かされたようで、なんだか恥ずかしくなりました。今号の第1特集「世界動乱を読み解く宗教入門」では、キリスト教(福音派と正教)、ユダヤ教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教が基礎から解説されており、それぞれの「世界の見方」を知ることができます。戦争をはじめ、昨今の世界では驚くような出来事が続きますが、各宗教の考え方を学ぶことは日々のニュースの理解にもつながるはずです。

★一方、今の日本社会で最も影響力を拡大している「世界の見方」は陰謀論かもしれません。烏谷昌幸さんが論じるように、荒唐無稽なデマが「政治的に疎外された人々にとって、希望と元気を与える物語」になっている現実があります。誤った言説に事実で反駁するのとあわせて、陰謀論が人々をひきつけるメカニズムについても知る必要があるのでしょう。第2特集では他にも少数与党、トランプ関税、「外国人問題」といった新たな論点をとりあげ、一寸先は闇の日本政治に迫ります。

編集長:田中正敏


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