ネタバレと消費体験の関係
以上のことは、ネタバレ問題を理解する上でも役に立つ。エンドゲームやシン・エヴァの消費者は、一切何の情報も入れずに予断なく鑑賞することで、自分の鑑賞体験を驚きに満ちたものにしたいと考え、そのニーズを満たすためにネタバレを忌避していた。だから、「スポイラー」とは、ネタバレそのものというより、鑑賞体験の構築を妨げるすべてのノイズを指していると理解した方がよい。
この議論は、考察や核心的情報、設定や結末を知った上で漫画や映画、ドラマなどを鑑賞する人々にも適用することができる。
(続きは『中央公論』2022年8月号で)
谷川嘉浩(京都市立芸術大学特任講師)
〔たにがわよしひろ〕
1990年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学、観光学など。近畿大学非常勤講師ほか。単著に『信仰と想像力の哲学』、共著に『メディア・コンテンツ・スタディーズ』『フューチャー・デザインと哲学』『ゆるレポ』など、訳書にマーティン・ハマーズリー『質的社会調査のジレンマ』がある。
1990年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学、観光学など。近畿大学非常勤講師ほか。単著に『信仰と想像力の哲学』、共著に『メディア・コンテンツ・スタディーズ』『フューチャー・デザインと哲学』『ゆるレポ』など、訳書にマーティン・ハマーズリー『質的社会調査のジレンマ』がある。