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寺西ジャジューカ 令和4年の佐久間宣行――テレビだけでなくラジオやネットへと越境

寺西ジャジューカ(フリーライター)

テレビマンのピーク

 おそらく、佐久間が退社を決断するにあたり、念頭にあった人物として元フジテレビの小松純也がいたはずである。「ダウンタウンのごっつええ感じ」「SMAP×SMAP」「笑う犬の生活」を手掛け、19年に独立。現在は「チコちゃんに叱られる!」(NHK)や「人生最高レストラン」(TBS)、松本人志がプレゼンターを務める「ドキュメンタル」(Amazon Prime Video)などを企画、演出、プロデュースするテレビマンだ。

 決して誰もが小松のようになれるわけではない。時代を象徴する花形スタッフがフリーになったり、何らかの理由で一度現場を離れたりすると、テレビマンとしてパッとしなくなるケースは散見される。特にバラエティは年齢(若い感性)が大きく影響してくるし、現場のブランクが長いと途端に感覚も衰える。"天才ディレクター"だったテリー伊藤も、「進め!電波少年」(日本テレビ)の土屋敏男も、片岡飛鳥も、ずっと前線で輝き続けられるわけではないのだ。

 佐久間は演出家としてのピークに自覚的である。テレ東退社後のインタビューで、彼はこう述べている。

「自分自身で勝手に『そんなにお笑いのセンスがピッタリ合っている時期ももうねえだろ』と思っていて。『俺はもう50を超えたらやべえんじゃねえか』と」(『KAMINOGE』№117)

 あともう一つ、佐久間がサラリーマン生活を送ったのがテレ東だったという事実も大きい。予算が少なく、"テレビ番外地"とも呼ばれていた同局に所属する以上、明石家さんまやダウンタウンといった超大物と仕事をする可能性は低くなる。しかし、退社に踏み切ることでその芽が出てくるのだ。そういえば、ダウンタウン直系の芸人である東野幸治(ひがしのこうじ)は、こんなエピソードを佐久間に打ち明けていた。

「松本(人志)さん、言ってましたよ。『テレ東の佐久間さんってどんな人なの?』って。『面白い人ですよ』とは言っときましたけど。何か考えてんのかな(笑)。(中略)どういうつもりで言ったのかわかんないですけど、今のテレビの若いクリエイターをご本人なりにリサーチされてるのかなと思って」(ニッポン放送「佐久間宣行の東京ドリームエンターテインメント」20年2月20日放送)

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