レシピの考え方
──どのようにスパイスカレーを研究したのでしょう?
私はとにかく本を片っ端から読むタイプなんです。最初の数ヵ月で、日本で出版されているインド料理やスパイス料理に関連する本は、ほぼすべて読んだはずです。それからインターネットで英語で検索すると、本当にたくさんのレシピが出てきました。
例えば、南インド地方にチキン・マッパスというカレーがありますが、ネット検索をして、数多のレシピを読み込みました。すると、まず作り方を知ることができます。どれにも共通して使われている食材は絶対に必要なもの、そうでない食材は、アレンジとして加える要素なのだとわかってくる。作ってみて美味しいものができたら、自分だけのチキン・マッパスになります。膨大なインプットのあとに分別して、一番美味しそうなレシピをピックアップし、そこにアレンジを加えていくという作業を、ずっと繰り返しています。
──これまでに何種類のカレーを作りましたか。
数年前には「500種類を作ったことがある」と言っていましたが、その後、新たにレシピを考案して書籍を出したりしているので、今だったら1000種類は超えているんじゃないかと思います。
レシピを考えるコツは、とにかくインプットの量を増やすことです。10のレシピを覚え、その法則を繋ぎ合わせてやっと1、2個のレシピが生まれてくるんです。そのアイデアの源は、カレーだけに限りません。フレンチのお店に食べに行ったり、中華料理の本をひたすら読み込んでみたり。いろいろなジャンルの料理から学ぶことができるんですね。同じ種類の料理や経験を繰り返すのではなく、常に新しいことを取り入れていくことが大事だと思っています。