力量に合った山・コース選び
ネット以外の情報源としては、ガイドブック、山岳雑誌、地形図、登山地図などがある。山小屋や地元自治体などに電話で直接問い合わせれば、最新情報を得ることもできる。
こうして集めた情報をもとに計画を立てていくのだが、最も重要なのが、自分の体力や技術、経験に見合った山・コースを選ぶということだ。
美しい映像で山の魅力を伝えるテレビ番組などを見ると、つい自分も「登ってみたい!」と思ってしまうが、憧れの山と自分が登れる山は必ずしもイコールではない。とくに近年は、疲労や体調不良により自力で歩くことができなくなり、救助を要請するケースが増えている。これは、その山に登るだけの力量が備わっていないからで、その人にとってはオーバースペックの山・コースということになる。
一般的には、自分の力量の7割程度で登れる山が〝自分の実力に合った山〟といえる。残りの3割は、万一のアクシデントなどに備える余力として温存しておくわけである。
自分の体力や技術レベルがどれぐらいなのかを客観的に把握するのは難しく、つい過大評価しがちになるようだ。そこで参考にしてもらいたいのが、「山のグレーディング」である。
(続きは『中央公論』2024年8号で)
羽根田 治(フリーライター)
〔はねだおさむ〕
1961年埼玉県生まれ。長野県山岳遭難防止アドバイザー、日本山岳会会員。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆を続けている。『山はおそろしい』『山のリスクとどう向き合うか』『これで死ぬ』『ドキュメント生還2』など著書多数。
1961年埼玉県生まれ。長野県山岳遭難防止アドバイザー、日本山岳会会員。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆を続けている。『山はおそろしい』『山のリスクとどう向き合うか』『これで死ぬ』『ドキュメント生還2』など著書多数。