難しい言語、学びやすい言語
これまでに習得した言語の中で、最も苦戦したのは、アラビア語とタイ語です。
アラビア語は文字が難解と思われがちですが、文字そのものは、ちゃんと勉強すれば比較的短時間で学べます。それより大変なのは、方言のバリエーションの多さです。方言によっては、アラビア語圏の人同士でも意思疎通ができないほど違う単語や言い回しがあるから難しい。
タイ語で厄介なのは、声調(せいちょう)です。発音は同じなのに音程が違うだけで意味が異なる言葉がたくさんあるのです。声調は中国語やベトナム語にもありますが、タイ語はその種類が中国語よりも多いし、中国語のように日本語と似た単語があるわけではないので、かなり難しかったです。
日本人にとって比較的学びやすいと感じたのは、インドネシア語と韓国語です。
インドネシア語は表記が我々に馴染みのあるアルファベットなのでとっつきやすいし、文法もとてもシンプルです。文法構造が単純なのには、理由があります。多島国であるインドネシアには民族言語も含めると何百もの言語があり、国内での意思疎通を図るのが難しい。そこで共通語としてつくられたのがインドネシア語なのです。
韓国語は文法が日本語とほぼ同じで、語彙の多くも共通しているので、我々日本人には非常に学びやすいと思います。発音を含めて日本語に似た単語が中国語よりも多い印象です。
個人的に勉強していて楽しかったのは、ロシア語です。正直言って、ロシア語は文法がものすごく難しい言語です。主格・属格・与格・対格・造格・前置格と「格」が六つもあり、単語の形が役割によって変わるからです。主語に応じた動詞の活用など格が変化する言語は他にもありますが、ロシア語やウクライナ語、ポーランド語などスラブ系の言語ではそのバリエーションが異様に多い。でも言語オタクの私にとっては、それが逆にパズルみたいで楽しかった。文脈を通して活用のルールを発見していく過程にはワクワクしました。
(『中央公論』2月号では、この後もKazu Languages流の外国語学習のコツ、最新の英語学習ツール、今後の活動の抱負などについて語られている。)
構成:髙松夕佳
2000年愛知県生まれ。スペインの音楽に関心を抱いたことをきっかけとして、独学で外国語学習を開始。外国語学習の楽しさを発信するため、 22年に本格的に「Kazu Languages」というチャンネル名でYouTuberとしての活動を始める。YouTubeのチャンネル登録者数は約140万人。著書に『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』がある。