対米不信につけ込む中国
内部で結束する台湾に対して、中国は危機感を強めた。望ましくないのは、台湾の世論がロシアと中国を重ね合わせることで、もはや中国と台湾はまったく異なる世界にあると信じ込んでしまうことである。それは「両岸一家親(両岸は一つの家族)」「血は水よりも濃し」などとして、中台の「絆」を台湾統一を目指すためのナラティブ(語り)としてきた習近平国家主席の方針を否定することになる。
中国が目をつけたのは、台湾世論に潜んでいる対米不信だった。
(続きは『中央公論』2022年8月号で)
野嶋 剛(ジャーナリスト・大東文化大学教授)
〔のじまつよし〕
1968年福岡県生まれ。朝日新聞社入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長などを経て2016年に独立。著書に『ふたつの故宮博物院』『台湾とは何か』『香港とは何か』『新中国論』など。
1968年福岡県生まれ。朝日新聞社入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長などを経て2016年に独立。著書に『ふたつの故宮博物院』『台湾とは何か』『香港とは何か』『新中国論』など。