マドゥロは大統領ではない
今回の軍事行動では、「一国の大統領を軍事行動によって拘束・送致したこと」に対して、アメリカ連邦議会への事前通告などの国内手続きを踏んでいないことに加え、国際法違反、外国への内政干渉といった批判がアメリカ国内外から高まった。実際それらは十分検証されるべきもっともな指摘だが、ただその中でひとつだけ誤りがある。それは、マドゥロはベネズエラの正統な大統領ではないという事実だ。
ベネズエラでは、前任のウーゴ・チャベス政権(1999〜2013年)以降、司法や選挙管理委員会をはじめすべての国家権力をチャベス派が支配してきた。チャベス死去後に政権を継いだマドゥロは、未曽有の経済破綻や人権侵害で有権者の支持を失ったが、その中でも政権を死守するために、反政府派の主要政治家の大半を選挙から排除したうえで形ばかりの大統領選挙を実施し、勝利したとして政権の座に居座り続けた。
昨年ノーベル平和賞を受賞したマリア・コリナ・マチャドは、反政府派の予備選挙で9割以上という圧倒的支持を集めた人物だが、彼女も公職追放処分を受け、大統領選への立候補取り下げを余儀なくされた。そのため2024年大統領選挙で反政府派は、マチャドの代替候補としてエドムンド・ゴンサレスを擁立し、マチャドとの二人三脚で選挙を戦い、勝利を勝ち取ったのである。