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「家が一世一代の買い物」時代の終焉、東京の街はどこへ向かう? 磐石なブランドと中途半端さが同居する千代田区の「輝く街・くすむ街」とは

牧野知弘の23区「街間格差」第1回
牧野知弘

千代田区のくすむ街「東神田、岩本町」

一方、暮らす場所としての魅力があまり感じられないのが東神田や岩本町といった、区の東側でしょうか。

神田には企業や飲食店が多く集まっていますが、オフィスビルの経年劣化やオーナーの高齢化という問題を抱えており、発展が滞っている印象を受けます。

岩本町一丁目の景色(写真提供:PhotoAC)

戦後の高度成長期に元気だった中小企業を中心としたオフィス街、たとえば港区の新橋界隈や品川区の五反田界隈も似た構造にあります。

神田よりさらに東に位置する東神田や岩本町となると「働く」にも「住む」にも、十分な社会インフラが整わず、より中途半端な立地となっています。

都営地下鉄新宿線と東京メトロ日比谷線がこのエリアを走っていますが、新宿線はその名前のわりに東京の中心部をやや外れているために使いにくいし、日比谷線はカーブが多いので速度が遅いのです。

銀座から北は築地、八丁堀と中央区でも東のはずれを通るのもまたその評価を押し下げています。エリアの南部をかすめるJR総武線も、駅が地下にあることから地上の賑わいを創出するに至っていません。

問屋街の機能は薄れつつあり、さりとて都心居住の受け皿としての住宅地にもなりきれていないのがこのエリアの悩みの種と言えるでしょう。

牧野知弘
1959年生まれ。オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、89年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。09年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。15年オラガ総研株式会社設立、以降現職。著書に『街間格差』『なぜ、街の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『こんな街に「家」を買ってはいけない』『2040年全ビジネスモデル消滅』など。テレビ、新聞などメディア出演多数。
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