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「家が一世一代の買い物」時代の終焉、東京の街はどこへ向かう? 磐石なブランドと中途半端さが同居する千代田区の「輝く街・くすむ街」とは

牧野知弘の23区「街間格差」第1回
牧野知弘
千代田区を代表する街の一つ、麹町(写真提供:PhotoAC)
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られた東京23区。フタを開けてみれば、資材の値上がりや「おうち時間」の高まりなどに伴い、むしろ首都圏では高騰したマンション・戸建ても多くみられ、期待がはずれた読者も多いのでは。しかし不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを持つ牧野知弘さんはコロナ前に刊行した著書『街間格差』で今の変化を鋭く予言していました。その牧野さんが23区、それぞれの区からこれから輝く街、くすむ街をピックアップ! 今回は「千代田区」編です。

どの街が「住む」という意味で注目されるか

コロナ禍は多くの人々の日常生活に大きな影響を与えました。そのいっぽうでこれまで当たり前と思っていた生活様式に様々な変化が起こり、人々はこの新しい生活様式に順応を始めました。

ひとつが「通勤」です。朝起きて会社に行く、夕方以降は残業、または同僚などと食事して深夜遅くに帰宅する。この常識がコロナ禍では見事に崩れました。

また職種や業種によりますが、日常的に通勤をしなくとも十分生産性を上げることができることも確認されたのです。

働き方の変化は当然住まい選びにも影響を及ぼします。

これからの住まい選びは、ただ単に交通利便性の良い場所だとか、お洒落な街並みへの憧れで選ぶものではありません。まして住宅ローンの支払い可能額やマンションブランドだけで選ぶものでもなくなります。

働く場所が自宅や自宅周辺のコワーキング施設などになると選択肢はこれまででは考えられなかったものに広がるのです。

このことは「住まいとは、一世一代のお買い物」という時代が終わってしまうことを意味しています。

つまり、これから先は、あくまで自分のライフステージやライフスタイルに応じた「街選び」をする時代になるということです。住まいを「買う」もよし、「借りる」もよし、今よりも、もっと柔軟な思考で捉えることができるのです。

特に東京では、それぞれの「街」には長所もあれば短所もあり、また一方で、万人にとって完全に満足できる「街」も無いように思います。

本連載ではこの前提に立ち、東京23区にフォーカスしたうえで各区別にどんなところが「住む」という意味で注目されそうか、セレクトをしてみました。

またこれは非常に難しい判断になるのですが、同じ区内でももう少し特徴を出すべき、もしくは頑張っていただきたい、と感じた「街」についてもあえて触れていこうと思います。

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