総務の「デキる」の捉え方
――豊田さんから見たデキる総務、デキない総務とはどんな人ですか。
総務で成果を出せる人と出せない人の最大の違いは、「総務」をどう捉えるかにあります。総務は一言でいうと、降ってくるあらゆる雑務をこなす、他の部署が担当しないことすべてをやる部署です。
それを「何が来るかわからない雑務係」と後ろ向きに捉えてしまえば、やらされるだけのつまらない仕事になりますが、「何をやってもいいんだ。好きにやらせてもらえる」と前向きに捉えれば、前例に囚われることなく、必要だと思うことをどんどんやって会社を変えていくことができます。
デキない人は、「ルールがこうなので、例外は認められない」「先輩の言うとおりに」と、前例を守ろうとします。環境変化が著しい昨今、こんな姿勢では新しいものは生み出せません。一方、デキる総務は「そもそもこれは本当にいるのか」「なくてもいいのではないか」と現状を疑い、一歩前へ踏み出すマインドへと切り替える。総務の仕事の醍醐味はそこにあります。自分で発案、実行した結果、会社が良いほうに変わっていく。仕事を通して創造の喜びを感じることができるのです。
総務の仕事は全社にまたがります。福利厚生の制度にしても、対象は全社員です。総務担当者が創造性を発揮すると、全社員に行動変容を求めることになります。会社全体にインパクトを与えられると考えればやりがいがありますが、全社員と絡まなくてはならない面倒臭さもある。たとえば紙の申請書をクラウドツールに変えれば、現場の人たちは行動を変えなくてはならない。人間は変化を嫌う傾向がありますから、「面倒だな、今のままでいいじゃん」と反発が起きるでしょう。それにどう対峙するかが次のステップです。「社員にギャンギャン言われるからこのままでいいや」となってしまえば成果は出せず、会社に貢献できません。自らの職務を前向きに捉えて、変化に伴う反発を乗り越えられるか。これがポイントです。
総務の責任者が「俺の目の黒いうちは何も変えるな」というタイプの人だと、激変する時代の課題から目を逸らしたまま、会社は衰退に向かうことになります。