バックオフィスこそが会社を変える

豊田健一(株式会社月刊総務代表取締役社長)

「戦略総務」と「管理総務」

――著書で書かれている「管理総務」のような人ですね。


 ええ。自ら主体的に考え、会社を変えていく総務担当者を「戦略総務」、言われたことだけを粛々とやる総務担当者を「管理総務」と私は定義しました。「このボールペンを買ってくれ」と言われて、「わかりました、揃えておきます」と答えるのは管理総務ですが、「なぜこのボールペンが必要なのですか?」と問い直すのが戦略総務です。シャープペンシルじゃダメなのか、そもそも今、紙に書く必要があるのか、というところまで問い直す。ボールペンがほしい理由まで遡って聞き取っていくと、より良い方法へと変えられるヒントが得られることがある。マインドチェンジを厭わず、自ら考えて変えようとする姿勢が大切です。


――それができる人は、どの部署でも通用しそうです。


 総務を突き詰めると、経営者に行き当たりますからね。スタートアップ企業の社長は、総務も兼務しています。エビデンスがない中、リスクを取る判断を下して自ら会社を変えていく経営者と同じマインドが、総務には求められます。


――会社の実態を最も把握しているのは、総務であると。


 本来はそのはずです。総務の「総」とは総合業務管理だと私は考えています。すべてを司るという意味では、経営者と同じ。そう考えると楽しくなってきませんか?

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