ニュージーランドの「ゼロコロナ」戦略
以下では「コロナ被害」と「経済被害」のそれぞれについて、各国の特徴を見ていく。
まず、「コロナ被害」を少なく抑えている国として、台湾、ニュージーランド、中国、ベトナム、タイが挙げられる(表の感染者数で一〇点となっている)。これらの国の特徴は、累積の感染者数が少ないだけでなく、感染のピークもかなり低い点が共通している。なお、これらの累積感染者が少ない国では感染拡大率や死亡率が高いために順位を落としている国もあるが、累積死亡者や足もとの感染者の絶対数を見ると少なく、総じて感染抑制に成功してきた点では共通して評価できる。
ニュージーランドのアーダーン首相は、二〇年十二月に感染者数をできるだけ少なく抑えるべく、「カーブを潰す(squashing the curve)」ことを目標としたと語っている。感染者数をピークアウトさせ、また、市中感染ゼロを目指すこのような方針は「ゼロコロナ(Zero Covid)」戦略とも呼ばれるようになった。
上の図では感染被害が小さい国における新規感染者数の推移をプロットしているが、実際、台湾、ベトナム、ニュージーランドはほぼ新規感染者がいない(市中感染者に限ればゼロに近い)状況が続いている。オーストラリア(総合一一位)は二十年七~八月に感染者が増加する局面があったものの、十月以降はほぼゼロに抑えている。中国も断続的にクラスターが発生しているが、その都度抑制している。一方で、タイはこれまでかなり感染者を抑制してきたが、冬になって急拡大しており、今がまさに正念場と言える。なお、図には記載していないが、感染者数が少ない国でも韓国(総合一三位)などは一日あたり数百人の感染者が確認されており、「ゼロコロナ」というよりは「ウィズコロナ」で、相対的に日本に近い。