(『中央公論』2024年2月号より抜粋)
- 二児の父になって
- もっと「手抜き」ができる社会に
- 人口減少は世界共通の課題
二児の父になって
――昨年11月20日、妻でフリーアナウンサーの滝川クリステルさんとの間に第二子となる女児が誕生しました。おめでとうございます。
ありがとうございます。高齢出産だったので心配でしたが、おかげさまで妻も子どもも元気です。
――2009年に衆議院議員に28歳で初当選された時は独身でしたが、19年に結婚、翌20年には第一子が生まれ、今や二児の父になられました。社会や政治の見方に変化はありましたか。
それはもう、変わりましたね。家族を持つ前には見えなかったものが本当によく見えてきました。
一番に感じたのは親への感謝。子どもと向き合って育児をする中で、「自分の親もこうやってくれていたんだろうな」と実感するようになりましたね。
二つ目に感じたのは、子どもに関わる仕事に就いている皆さんへの敬意と感謝です。私は妻の出産に2度とも立ち会いましたが、その時にお世話になった医療従事者や、幼稚園や保育園で子どもを見てくれている方々がそうです。私は1対1でもひいひい言っているのに、一人で何人もの世話をされているのは、もう考えられない。(笑)
私が環境大臣だった時に、非常に印象的だったことがありました。環境省の若手の職員から「大臣が育休を取れば私たちも取りやすいから」と背中を押されて取得したのですが、育休を終えて公務に戻ると、50代の男性職員から「大臣もオムツを替えるんですか?」と聞かれたんです。「いや当たり前じゃないですか、替えますよ」と答えたら、「え、うんちもですか?」と(笑)。そんなのどちらかしかないんだから、「当然じゃないですか」と言うと、その方は「自分は替えたことがないもので」とおっしゃっていた。
その時感じましたね。ああ、上の世代の方は子どもと一緒にいたくても、いられなかったんだろうな、と。育児は「今しかできない」とよく言われますが、私も実際に育休を取り、子どもとのかけがえのない時間を過ごしてその喜びを感じたことで、いっそう強くそう思うようになりました。
上の世代の頃は、男性育休という言葉すらなく、女性も取得するのが当たり前という世の中ではなかった。ようやく育休も一定の広がりを見せてきましたが、トップダウンでもっと変えていかなくてはいけないと思いましたね。
実は数日前に、私の番記者の一人に子どもが生まれました。彼には「どれだけ大事な政局になっても、絶対に出産には立ち会え。一生のことだから」と以前から言っていたんです。正直、今は政治部の記者にとって非常に大変な時期ですが、それでも彼は立ち会ったんですね。「さすがに心が揺らいだけど、立ち会って本当によかった」と感謝されました。
やはり、自分が実体験をもとに同世代や次の世代に語れるということは大きい。これは自分が結婚して子どもを持たなければ、分からなかったことでした。