小泉進次郎 父として、政治家として

小泉進次郎(衆議院議員)

もっと「手抜き」ができる社会に

――今回も育休を取る予定ですか?


 第一子の時は大臣でしたが、今は一衆院議員の立場です。幸いなことに妻は産後も元気なので、今のところは自分なりの柔軟さを持ちながら、家に最もいてほしいと思われる時間帯にいるように意識しています。自分が取れる時に取るのではなく、夫婦で話し合って取ってほしいと思われる時に取ること。それが育休の正解な気がしますね。

 うちは二人目なので、一人目が幼稚園から帰ってきて、二人の子どもを同時に見なくてはいけない時間帯が一番きついんですよね。あとうちは15歳になる犬も飼っていて、今はオムツをしている。親の介護と子どもの育児とのダブルケアでとても大変な方がいますが、我が家は子どもと老犬のダブルケア。だから、夜の予定を極力入れないようにしています。あとは朝に上の子どもを幼稚園に送るのは私の役割なので、朝8時から始まる自民党の会議にもあまり出ていません。

 夜の会食を通じての情報交換や人間関係の構築が、政治家として重要なのは分かっています。だから正直、葛藤はやっぱりありますよね。でも人生において何を大切にするべきかを考えると、子どもと向き合う中での学びは今しかできず、夜の会食や朝8時の会議では得られないものです。ある意味、最高の学びをしているんだと自分に何度も言い聞かせているところはありますよね。大変ですが、本当にかけがえのない喜びとやりがいを感じています。

 あと、声を大にして言いたいのは、世の中、いい意味でもっと「手抜き」をしていいということです。

 私自身、育児と仕事の両立に苦労する中で、本当は次の日に備えて読まなくてはいけない資料があったり、一本電話を入れておきたかったりすることがある。それでも家庭での役割との折り合いをつけなければならない。それがもとで失敗して落ち込む時ももちろんありました。

 そんな時に液体ミルクやレトルトの離乳食といった時短ツールが、すごくありがたかったんです。母乳じゃないとダメだとか、子どもの食べるものだから手作りじゃないとダメと言う方もいらっしゃいますが、「いや、無理です」と。そこはもっと楽をしていい、完璧でなくていいという空気を社会全体でつくりたいと思うようになりました。


――育児と仕事との両立に苦労される中で、取り組むべき政策課題として働き方改革の優先順位も上がりましたか?


 そうですね。やはり働き方は世の中に大きな影響を与えますし、安倍政権以降、政府は最重要の課題に引き上げて取り組んできました。働き方改革を一時の政策とするのではなく、時代に合わせて弛(たゆ)まずに変えていくことが大事です。

 肝心なのは、多様で柔軟な働き方ができる社会を実現することだと思います。フレックスタイム制や時短勤務などが広がってきていますが、もっとバリエーションを増やさないといけない。なぜなら、子どもの性格はさまざまですし、どういう働き方が最適かは家庭によって全く違いますから。それぞれの家庭のニーズに対応できる社会を作ることが大事だと思います。

 最近政府が取り組んでいるDX(デジタル・トランスフォーメーション)も働き方改革とセットなんです。今年からは建設、物流、医療といった業界でも働き方改革が広がりを見せていきます。労働力不足が深刻化する中、業務を人が介在しないやり方に切り替えて、生産性を上げながら、さらに多様で柔軟な働き方を選択できるようにしないといけないですね。

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