北朝鮮や中国とどう向き合うか
――国際秩序に挑戦している代表格が、北朝鮮や中国です。首相は北朝鮮による拉致問題解決に向けて「私自身、わが国自身が主体的に動く」と発言しましたが、能登半島地震に際して、金正恩朝鮮労働党総書記が首相宛てに異例の見舞いの電報を出したことをどう受け止めていますか。
大前提として、北朝鮮は核・ミサイル開発を続けています。これは、国連安保理決議等に照らしても断じて許すことができない行為であることに変わりはありません。
一方、拉致問題については、拉致被害者のご家族の高齢化等を考えましても、時間的に制約のある人道問題です。果断に取り組まねばならないという思いを日々強めています。
私自身、条件を付けずに金正恩総書記と直接話し合う決意であること、そして首脳会談を早期に実現するべく私直轄のハイレベル協議を行いたいことを再三申し上げ、さまざまな働きかけを行っているところです。これ以上、具体的なことは申し上げられませんが、その働きかけは今後も続けていきたいと思っています。
――中国とはどう向き合いますか。
中国とは隣国であるがゆえにさまざまな懸念や課題が存在します。だからこそ、対話を維持し、主張すべきことは主張して、中国に責任ある国際社会の一員としての役割を果たしてもらうべく、働きかけを続けなくてはいけない。そして気候変動をはじめ、協力できる課題については協力する。「建設的かつ安定的な日中関係」を双方の努力で作り上げていく。これが基本的な立場です。
昨年11月の(アメリカ・サンフランシスコでの)日中首脳会談において、習近平国家主席に対して、具体的な課題や懸念についてしっかりと申し入れたうえで、さきほど述べた日中関係の方向性を確認することができました。これは大きな意味があったと思います。今後はその方向性をしっかりと維持しながら、具体的な課題について一つ一つ向き合い、答えを出せることについては出していく。こうした努力を続けていくことが中国との関係においては大事だと思っています。