安倍派の影響力低下の影響は
――自民党派閥による政治資金規正法違反事件で、近年、外交・安全保障の分野で保守・タカ派的な政策を牽引してきた安倍派(清和政策研究会)の影響力の低下が指摘されています。ハト派と言われる宏池会(岸田派)の会長を務めてきた岸田総理の政策に影響はありますか。
安倍晋三元総理が残された「外交遺産」は、多くの国々から共通の考え方として理解され、受け入れられ、大事にされていると改めて感じています。「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)をはじめとする安倍政権時代の外交遺産は、タカ派かハト派かという立場を超えて、日本にとって大きな財産です。私もこの外交遺産をしっかり継承し、大事にしながら、その土台の上に立って、日本外交の明日を考えていかなければならないと思っています。
引き続き日本は厳しい安全保障環境の中にあります。こうした認識のもと、私自身、政権を担ってから国家安全保障戦略を新たに取りまとめ、防衛力の抜本的強化について決断を行い、積極的な外交を進めてきました。激動する国際社会において責任ある役割を果たせるよう、日本外交をリードしていきたいと思います。
――派閥の理念や伝統は現実の外交とは別ということでしょうか。
外交、そして国民の安全・安心を守るという点においては、理念ももちろん大事ですが、現実としてどう対応するかという判断が求められます。このバランスが大事だと思います。