新型コロナという予兆
生態系のメカニズムの狂いによって、どんな異変が起こるかは予測困難だが、新型コロナのような新しい感染症の出現間隔が短くなっているのはその一つの兆候だと考えられる。
WHO(世界保健機関)は、新型コロナの発現以前から、新型インフルエンザ出現のリスクを警告していた。多くの人命を奪い続けている従来のインフルエンザは、もともとは鳥のインフルエンザであり、現在、鶏舎で流行している強毒性鳥インフルエンザもいずれ人型へと進化することが懸念されている。
現在の鳥インフルエンザ流行と生物多様性とは一見、無関係に思われるが、中国や東南アジアの国々で、集約的かつ大量に飼育されている鶏やアヒルなどの鶏舎の中にウイルスが入り込み、抗生物質等により免疫系が異変を起こしていた多様性のない集団の中で急速に進化した可能性が指摘されている。その意味では根底に生物多様性の問題があり、このウイルスが人型に変われば、これまでのワクチンも効力を失い、重大なパンデミックに繋がる恐れがある。
事実、中国や東南アジアでは集団的な鳥の飼育、世話をする人の中に、インフルエンザに感染し死亡する人がすでに出ている。鳥から人に感染しているだけで、人から人への感染にはなっていないが、人から人に移るようになるのは時間の問題だ。
今回のコロナは多くの人には弱毒性で致死率は低い。にもかかわらず、世界の経済に大ダメージを与えている。これ以上の強いウイルスが発現したらどれだけ被害が拡大するか、今から考え、備えなければならない。