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ベストセラーを熱量だけで大量受注してもらった新入社員は 「むしろ何もしないほうが売れるのでは?」から逆転できるのか!?

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた
中央公論新社の若手営業社員2人が交互に自社のヒット本の売れてるワケを探りつつ、しれっと自社本を紹介していく本企画。第2回は、ロングセラー小説、町田康『告白』を取り上げます。文庫版が10年前に発売された本書をとにかく売りたい営業社員岡田による、激闘の記録です。

はじめまして。若手営業社員岡田です!

連載「あの本が売れてるワケ」第2回は、初登場の私岡田による、「大好きな本を売るためにやったこと」を体験談形式でお送りさせてください!!

昨年4月に入社、研修期間に「若手部会」なる営業部若手社員を中心にあらゆる案を出してみる会議にて、「好きな本仕掛けてみていいよ」とのお言葉!そこで入社後にたまたま読んでとんでもない衝撃を受け、一気に自分史上1位に躍り出た町田康『告白』を猛アピールし、(すでにベストセラーですが、もう一度)売り出してもらうことにしました。

「新入社員が名作を再ブレイクさせて重版!その理由に迫る――。」

本当はこの仕掛けでバズって、こういった記事が勝手に出るくらい売ってやるんだ!!という気概のもとやってきましたが、一向に出ないので自分で書きます。ぜひ読んでください。

『告白』を仕掛ける ~仕掛け販売はこうして始まる~

『告白』は明治初期に実際に起きた「河内十人斬り」という大量殺人事件をモチーフにした小説。その主犯である熊太郎の、犯行に至るまでの生涯を追った、文庫版で850ページにわたる長編で、第四十一回谷崎潤一郎賞受賞の超名作です。

が、しかし。そんなこともつゆ知らぬへっぽこ新入社員の私の第一印象は「テーマが重くて分厚いナァ。」でした。「広く売る」、つまり新刊でもないものを、ファン以外の人に手に取らせるのはハードルが高いんじゃないか、上司からはそういう意見もありました。

「でもこの小説、長いからこそいいんです!テーマは重いけど、独特なリズムと軽妙な河内弁の語り口が最高で本当にず~~っと読んでいたいし、まともな思考回路なのにうまくそれを言葉にできない熊太郎、将来大量殺人鬼になるとはとても思えない熊太郎への親近感と感情移入、これがもうほんとすごくて、」と、口角泡を飛ばしながら上司に熱弁すると、「じゃあそういうのパネルに全部書いたら?」とのアドバイス。すぐにびっしり感想を書いたパネルを作りました。

そこから文章・デザイン・その他あらゆる箇所のダメだし千本ノックを経てパネルを仕上げました。注力したのは「どうやって分厚い本を買ってもらうか」。完成した文章がこちらです。

"はじめまして、中央公論新社新入社員の岡田です。絶望的な厚さにはじめはたじろぎました。しかしご安心ください軽妙な河内弁で語られる幼少期の主人公・熊太郎にすぐに引き込まれました。不器用で上手に生きることができない熊太郎は、のちに世紀の大犯罪者となり果てることとなります。それにもかかわらず彼のことを思わず涙を必死にこらえて見守ってしまうのは、きっと私だけじゃないはずです。とにかく手に取ってみて下さい。人生の一冊となることをお約束します。"

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