新書と専門書の間―"選書"とは一体何なのか!? ~『分断の克服 1989-1990』『日本の保守とリベラル』中公選書が今熱いワケ!~
あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた 連載第12回
大佛次郎論壇賞受賞!『分断の克服 1989-1990』
板橋拓己さんの『分断の克服1989-1990―統一をめぐる西ドイツ外交の挑戦』は、ドイツ統一をめぐる激動の国際政治を、西ドイツ外相ゲンシャーに着目して書いた本。"徹底した史料の読み込みによって、説得的に提示している"と評され、大佛次郎論壇賞を受賞しました。大佛次郎賞は朝日新聞社主催の「優れた散文作品に贈られる」賞で、この大佛次郎論壇賞は「日本の政治・経済・社会・文化・国際関係などをめぐる優れた論考を顕彰する」とされています。
ちょうど先週、第168回芥川賞・直木賞の発表がありました。本に特段興味がない人でも聞いたことがあるのはこの二賞だけかもしれません。他にどのくらいあるの?と、ためしに中公新書の受賞作一覧を見てみるととんでもない量の賞の名前が。なんと46種類ありました。言ってみれば、これらの、かつて中公新書が受賞したことのある賞だけでも毎月平均4点弱、何がしかの新たな受賞作が誕生していることになります。小説も含めたらいよいよ毎日のように"受賞"が発生しているのでは...?
これだけの賞があるので、受賞、即売れる!ともなかなかいかないのが難しいですが、大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞に関しては『朝日新聞』が、選評とインタビューをかなり大きく載せて盛り上げるので、売り上げに直接影響する賞と言えます。