日本経済の裏面史を浮き彫りに
今回は農業史、経済史の専門家が著した『サラ金の歴史』が大賞を
▼日本の消費者金融について、本来難しいはずの個人を対象にした金融
▼弱者のセーフティネットという正の面、弱者を食い物にした負の面、そのどちらもが合理性に導かれた帰結であったことを示した
(評論家・栗原裕一郎)
▼大学院時代、学生ローンに頼ったことが一度だけある。そのときの罪悪と敗北が入り混じった複雑な感情が、本書を手にしてよみがえった
(京都大学大学院教授・佐藤卓己)
▼貸す側と利用者、各々の「人」の記録に踏み込んで整理するアプローチが面白い
(日本経済新聞社・桂星子)
▼「消費者金融」ではなく「サラ金」としたタイトルが秀逸。サラリーマン、特に管理職が体面維持のために多額の交際費やレジャー費を捻出せざるを得ず、借金をしていたという記述には時代を感じる
(光文社新書・三宅貴久)
▼すでに1世紀もの歴史があることに驚愕。誰もが目を向けるわけではないジャンルに切り込んでいく著者の旺盛な好奇心が作り上げた良作
(BOOKSなかだ掛尾本店・熊田明浩)
▼サラ金とそれを利用する人たちの実態こそ、資本主義が生んだ時代の一側面であり、ここにも日本経済のリアルがあると思う
(萬松堂・中山英)
〔『中央公論』2022年3月号より〕
「新書大賞2022」上位20冊までのランキングと、有識者49名の講評など詳細は、2022年2月10日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。
特設ページでも上位20位までのランキングを掲載しています。
「新書大賞」特設ページ https://chuokoron.jp/shinsho_award/