政治家や皇族と揃って語られることの多い「世襲」だが、この語が新聞各紙で使われる頻度は、平成以降増しているという。現状と背景を鈴木洋仁氏(東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター研究助手)が論じる。
(『中央公論』2022年3月号より抜粋のうえ、一部修正して掲載)
(『中央公論』2022年3月号より抜粋のうえ、一部修正して掲載)
世襲を好む日本人?
格差が広がるのはイヤだけれど、「世襲」は安心できる。
あなたも、そう思っていないだろうか?
昨年秋の総選挙を考えてみよう。
どの政党も「格差是正」を訴えた。
しかし、「世襲」は拒否されなかった。時事通信社によれば、「世襲」議員は、この衆院選で、全体の約23%を占めた。
同社による「世襲」の定義は、父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて、同じ選挙区から出馬した候補だが、およそ4人に1人にのぼる。
「格差是正」が叫ばれた選挙で、「世襲」議員が多く当選する。矛盾なのか? 当然なのだろうか?
まずはメディアにおける「世襲議員」の語られ方をみよう。