公立病院8割、一般病院7割が赤字という衝撃
(『中央公論』2026年2月号より抜粋)
(『中央公論』2026年2月号より抜粋)
総務省が2025年9月30日に公表した2024年度決算では、全国の公立病院844のうち、83.3%の703病院が赤字であり、赤字幅・赤字病院の割合はいずれも過去最大であったことが注目を集めた。公立病院は、地域医療の要として、不採算部門の救急・小児医療などを提供する役割があることから、もとから赤字になりやすい要因はあった。しかし、2021年度の赤字病院は27.6%であったことから考えると、近年急速に赤字病院の割合が拡大したといえる。
同様に、厚生労働省が11月26日に公表した医療経済実態調査によると、2024年度、一般病院全体の72.7%が赤字であった。同調査における「一般病院」とは、国公立病院・民間病院なども含めたものであり、こちらも近年悪化の傾向がみられている。
これだけ多くの医療機関が赤字になるということは、個々の医療機関の「経営努力不足」や「無駄の多さ」が原因ではなく、構造的な原因があるとみるべきである。そして、赤字は単なる財務上の問題のみならず、「現在の医療制度が地域医療を支えきれない段階に来ている」という警告でもある。医療機関は、民間企業のように需要が減れば撤退すればよいという性質の組織ではない。地域に病院が一つしかない場合、その病院が閉院・撤退してしまうことは、住民の生活に甚大な影響を及ぼす。こうした問題をどう改善していくかが、今後の日本の医療提供体制を決めるといえる。
本論考は、病院の赤字問題を入り口として、日本の医療制度が抱える構造的課題を多角的に分析し、持続可能な医療体制の構築に必要な政策的方向性を示すことを目的とする。