中国の「債務の罠」
中国政府が強圧的な経済外交を行っていることに、世界はようやく気づきました。
中国が経済関係を利用して、相手国に政策変更を強いる例は、世界中で枚挙にいとまがありません。台湾の外交窓口機関に「台北」ではなく「台湾」の呼称を認めたリトアニアは外交関係を格下げされ、新型コロナウイルスの発生源をめぐる調査を求めたオーストラリアは法外な高関税をかけられました。ケニア、パキスタン、ザンビア、スリランカ、フィリピン、バングラデシュなどは中国からの巨額の債務に苦しんでいます。
7月にはアメリカのブリンケン国務長官、レモンド商務長官、日本の林外務大臣、萩生田経済産業大臣の間で初めての「経済版2プラス2」会合が開催されました。不公平で不透明な貸付などを含む経済的な強制力によって、自由で開かれたルールに基づく国際秩序が挑戦を受けている現状について、4閣僚全員が深い懸念を示しました。過去20年間、中国ほどルールに基づく国際秩序から恩恵を受けてきた国はないにもかかわらず、ほかのすべての国が守っているルールに従おうとしないのは皮肉なことです。