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米村でんじろう「苦学生から科学の伝道師へ」

米村でんじろう(サイエンスプロデューサー)

学校が嫌い、社会に出るのが怖い

 私が大学を目指したのは、実は、社会に出たくなかったからです。大人の世界は怖い、お金を稼ぐのは大変と思っていたこともあり、高校に進み、大学へ進学したのです。

 もう少し勉強したい気持ちもなかったわけではありませんが、大学に行けば社会に出る時期を遅らせることができるという、モラトリアムが欲しかったことは否めません。

 ところが、受験勉強をしようとしても、私には勉強の習慣が身に付いていなかった。小さい時から人見知りで、野球などの集団の遊びが苦手。自然の中で遊んだり、工作に凝って、いつも一人で遊んでいる子供でした。捨てられたラジオから電磁石を作ったり、手製の望遠鏡を作ったりするのが好きで、気ままにやっているだけ。宿題をしていかないから毎日立たされていたし、授業が面白くなければ先生の話を聞かないし、ノートを取らない。集団に馴染めず、友達もいなかった。学校に行くのは気が重く、朝になるとよく下痢をしていました。

(後略)

構成:戸矢晃一

中央公論 2024年10月号
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米村でんじろう(サイエンスプロデューサー)
〔よねむらでんじろう〕
1955年千葉県生まれ。東京学芸大学大学院理科教育専攻科修了。都立高校教諭などを務め、96年4月、サイエンスプロデューサーとして独立。98年「米村でんじろうサイエンスプロダクション」設立。科学実験の企画・開発、各地でのサイエンスショーなど幅広く活躍中。
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