「保革」の二項対立と言われた55年体制から、1993年の政界再編などを経て、「保守・旧革新・改革」という構図に変化した日本政治について、政治学者の大井赤亥さんが読み解きます。
(『中央公論』2022年10月号より抜粋)
(『中央公論』2022年10月号より抜粋)
1993年の政界再編からおよそ30年をへて、この間の日本政治を認識するための見取り図をめぐり、ミネルヴァの梟(ふくろう)が飛びはじめている。
本稿も、次の三つの問題提起を通じて、現代日本政治を掴む認識枠組(フレームワーク)を問うてみたい。第一に、1993年の政界再編と自民党分裂を契機として、日本の政治対立は「保革」の二項対立から「保守・旧革新・改革」の三極構造へと変化したこと(1993年体制)。第二に、現在の日本政治は「自公・野党(立憲国民社民共産れいわ)・維新」がこの三極を担い、その力関係は2010年代を通じて「3・2・1」の割合で推移していること(「3・2・1の法則」)。そして最後に、三極それぞれの政策的特徴と支持基盤を踏まえ、ありうべき政権交代の条件を模索してみたい。