(『中央公論』2023年12月号より抜粋)
- ねじ曲げられた政治改革
- 企業・団体献金と政党助成金の二重取りで堕落した政党
- 自民党の大物も落選させた野党共闘
- 小選挙区でも勝てる共産党に
ねじ曲げられた政治改革
1990年代の「政治改革」の動きは、大手ゼネコンが政治家にランクをつけて献金していたというゼネコン汚職に政界が覆われていたことを契機としたものでした。金丸信・自民党前副総裁(当時)の金庫から金の延べ棒が出てきたという、時代劇のようなこともあって、「政治とカネ」の問題、政治腐敗をいかになくしていくかが大問題になった。私たちは、企業・団体献金の全面禁止がなにより大事だと訴えました。
ところが、政治腐敗は中選挙区制度が原因だとして、選挙制度の問題にすり替えられ、小選挙区制が導入された。当時、私たちは、「小選挙区制は大政党有利に民意を歪め、多くの国民の声を切り捨てることになる」と主張しましたが、そのとおりになってしまいました。
96年に初めて行われた小選挙区比例代表並立制の選挙では、わが党は比例区で726万票を獲得して大躍進しています。しかし、小選挙区では2議席しか取れなかった。小選挙区制が中小の政党に厳しい選挙制度だということを痛感しました。
小選挙区制がいかに大政党有利に民意を歪めるか。自民党は衆参の安定多数をずっと獲得していると言われていますが、2013年からの7回の国政選挙の得票率を調べてみると、有権者総数に占める絶対得票率はすべて15~18%。投票総数に占める得票率でも平均30%代に留まっています。
21年の総選挙では、自民党は比例区で得票率34・6%ですが、小選挙区で得た議席は全体の64・7%。比例区も含めた議席は55・7%。つまり、得票率の倍くらいの小選挙区の議席を得ている。並立制全体でみても1・6~1・7倍ほどの議席を得ている。「一強」と言われますが、実態は少数による「虚構の一強」にすぎません。
(中略)