目指すべきは「対案型」
この際、中道に特に意識してもらいたいことが二つある。一つ、先に筆者は「対案」と書いた。野党の役割はこれまで、立憲がまさにそうだった「対決型」か、国民民主のような「提案型」に分かれると考えられてきた。しかしこのどちらも、中道は選択しにくい。前者は口先ばかりの「批判勢力」とみなされ、政権担当能力を担う当事者としての理想像から乖離する一方になる。衆院にはっきりした野党が見当たらない状況だけに、メディアなどからは対決型の役割を中道に求める圧力がむしろ高まる可能性はあるが、この際従来型のモデルを見直す好機ととらえてもらいたい。
他方、提案型も難しい。国民民主やチームみらいのように、提案型にはライバルがいる。参院対策としても、高市政権が目を向けるのはまずこれらの党であって、中道ではありえない。それでなくても、提案型では自民に成果を奪われてしまうという警戒感も、かねて立憲には強かったはずだ。
そこで「対案」である。受け身の形にはなるが、政権が提示した政策に対し、「よりよき」方向性を具体的に打ち出し、SNSなどを通じて発信を続ける。そうすれば、国会質疑でも一方的な批判にとどまらないイメージを残せる道が開ける。立憲はSNS戦略が不十分だったが、公明にはこの点一日の長があるように見受けられる。
それでなくても高市首相の人気が高い間は、批判は非難ととらえられ、首相ではなく批判した側の評判を下げる公算が大きい。批判が正当なものだと訴えるためにも、対案を持っていることが重要だ。ただしここでいう対案は、「提案型」野党のようにすぐの実現を目指すわけではないから、必ずしも法案の形をしている必要はなく、骨格があれば十分だろう。「対決型」でも「提案型」でもない「対案型」という第三の道で、再出発することを勧めたい。