中道改革連合は「対案型」野党を目指せ

山本健太郎(國學院大學教授)

地方組織を大事にせよ

 もう一つ、下からの積み上げを大事にしてもらいたい。今般の中道の失敗は、実は「政界」再編の限界でもあった。「政党」再編ではなく、「政界」再編という言葉が使われるのは、選挙制度や議会や政権の構成などの事情から、主に国会議員主導の「上からの」再編が繰り返されてきたのが日本の特徴だからだ。今回の衆院選は、上からの再編に有権者が置き去りにされ、中道が惨敗した。

 有権者とともにしばしば置き去りにされてきたのが、地方組織である。永田町において机上で合併の効果を計算しているとき、これまでライバル政党として戦ってきた政党と選挙直前に一緒になり、上から急に降ってきた政策集を手に選挙を戦う現場の苦労が、どこまで想定されていただろうか。このようなやり方では、候補者や地方議員が自らの党の政策に愛着を持って語ることは難しい。大量に生まれた落選議員をケアする意味でも、地元で聞いた課題を丁寧にすくい取り、「対案」に収まらない独自の政策作りに活用すべきだ。

 不幸中の幸いは、当座は有権者や地方組織を置き去りにした政界再編が起こりそうな気配はないということだ。大きな野党では、多様な政党出身の議員が集まっているから、政策をめぐる対立が絶えない。これを乗り越えるには、選挙で議席を増やして、より大きな塊になって政権交代を目指せるという期待感が必要だ。しかし中道は、結党直後の衆院選で期待感の醸成に失敗したので、別組織のままの参院や地方組織を合流させる機運が高まるはずがない。小川淳也新代表のもとで党の先行きが危ぶまれるのも、むべなるかなだ。ましてや他の野党を巻き込んでの再編など、当面は望むべくもないだろう。

 しかし、同じく2005年の郵政解散、12年の近いうち解散と、民主党は二度にわたって衆院選で大敗したが、分裂には至らず、前者は次の総選挙で政権交代につなげた。ともに自民党が強すぎたがゆえに、自民に議員を引き抜かれることもなく、新たに第三極を作る機運も盛り上がらなかったからである。今回も基本的には同じだろう。地に足を着け、対案を積み重ねて政権担当能力を磨き、辛抱強く与党の失政を待つ。その先に初めて、有権者に受け入れられる再編もありうる。政権交代の方程式そのものは、なお不変である。


(「中央公論」4月号では、本記事の前段として1990年代の政治改革以降の政界再編の歴史をたどり、今回の中道改革連合の結成を位置づけている。)

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山本健太郎(國學院大學教授)
〔やまもとけんたろう〕
1978年兵庫県生まれ。2002年東京大学経済学部卒業、同大博士(学術)。専門は日本政治、政党政治。北海学園大学教授などを経て、25年より現職。著書に『政党間移動と政党システム』『政界再編』など。
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