ヨビノリたくみが語る、「予備校のノリ」が令和のいまウケる理由
アドリブ感に人間は惹かれる
――少子化などの影響により予備校の経営は苦しいと言われていますが、「中田敦彦のYouTube大学」や、国民民主党の玉木雄一郎代表がホワイトボードを使って政策を説明する動画などは人気があり、「予備校的なコンテンツ」は増えています。その理由は何だと思いますか。
大きく分けて二つある気がします。
一つはシンプルで、我々人類はまだ授業という形式にすごく親しみを持っているということです。今はそれこそAIでテキストを生成したり、それを機械音声が読み上げてくれたりと何事も学びやすい環境になっていると思います。それでも大半の人は授業を受けて育ってきたので、その形式にどうしても親しみを感じてしまう。
もう一つが、板書形式だからこそ出るアドリブ感にあると思います。原稿を準備して読み上げることもできるわけですが、ホワイトボードに書いてあるキーワードだけを見て話すと、少なくともその時その場で話しているように見える。
中田敦彦さんはそれがすごく上手です。おそらく話しながらその時の感覚、雰囲気に合わせて表現を変えているはずです。他のお笑い芸人さんも自身のYouTubeチャンネルでランキング企画などをする際に、ホワイトボードに手書きしながら話すことが多いですよね。ホワイトボードがあると、アドリブ感も出て会話が弾みやすく、アイデアも出やすい。2025年のM-1グランプリ王者のたくろうさんも、ボケ担当の赤木さんが漫才中におどおど話す様子がアドリブに見えて、絶妙にうまいからウケた。
人間はアドリブ感が好きなんです。これは授業にも通ずるものがあると思います。今の動画の視聴者、あるいは授業の聴講者は、アドリブか否かを敏感に察知するものです。ただ台本を読み上げているだけだと、すぐに視聴者は気づき、離れてしまう。アドリブのほうが人間は話に入り込める。作り込んでいるのにそれを表に出さないアドリブ感が、人を惹きつける授業には必要でしょう。
そのために僕も落語を聴いたり、特に最近はスタンダップコメディをよく見たりしています。スタンダップコメディはその場に来たお客さんとの即興のやり取りが名物ですが、あれは確実にアドリブなので参考になる部分が多いですね。