書籍の中でも世相が如実に表れると言われる「新書」。今回は、ベストセラーを数々手がけてきた辣腕の女性編集者に集まってもらい、新書の現在と未来について語ってもらいました。
- 新書のグローバル化が進んだ
- 2020年の新書ベスト5
- 新書の作り方、企画方法
- これから新書をどう売るか
新書のグローバル化が進んだ
――新書で多数のヒット作を手がけてきた女性編集者3名に集まっていただきました。まずは、2020年の新書市場をどう振り返りますか?
小木田 新刊の売れ行きが弱かったと感じます。2018年、19年に刊行されたものが何冊も売り上げランキング上位に入っていました。また、20年はコロナ禍によって刊行を延期したものも多かった。新書の主な売り場である都市部の書店の休業の影響が大きかったと思います。
草薙 世界に共通するコロナ禍も相まって新書のグローバル化が進んだ印象があります。朝日新書の『コロナ後の世界を語る』、文春新書の『コロナ後の世界』のほか、PHP新書の「世界の知性」シリーズも好評ですね。
大岩 新書の書き手はこれまで日本人がメインでしたが、20年はマルクス・ガブリエルやユヴァル・ノア・ハラリなど世界的な知識人の論考が目立ったように思います。コロナだけではなく、民主主義の機能不全、気候変動など、世界で起きている問題を同時進行で肌身に感じた年だったことが新書の世界にも表れたのではないかと思います。