阪神・淡路大震災から30年、震災の教訓とは何だったのか
久元喜造(神戸市長)
(『中央公論』2025年2月号より抜粋)
1995年の阪神・淡路大震災から30年が経ちますが、神戸はかなり速いペースで復旧・復興を果たすことができたと思います。当時の神戸市政は、まちを蘇らせる方向にすばやく舵を切った。被災からわずか2ヵ月後の3月17日に、震災復興市街地再開発事業の都市計画決定を行いました。避難所に身を寄せる被災者がまだ多数いるなかで、大規模な市街地再開発計画を出したのですから、批判も少なくありませんでした。しかしこの決断は功を奏し、災害復興住宅、借り上げ住宅、市街地再開発という3種の住宅供給を早期に行った結果、仮設住宅は5年未満という短期間で解消できました。
もちろん、すべてが迅速に進んだわけではありません。復興事業をめぐっては市民の間でも意見が分かれ、試行錯誤を繰り返しました。なかでも被害の大きかった新長田駅南地区の再開発には30年かかりました。つい先日、新長田キャンパスプラザの完成をもって、ついに事業が完了(2024年11月12日)したところです。
(中略)
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