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出口治明✕村木厚子 「女性がつくった国・日本」をガラパゴス化から救うショック療法

出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長)×村木厚子(津田塾大学客員教授)

変化のスピードが圧倒的に遅すぎる

─ちょうど一年前、世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」の二〇一九年版ランキングにおいて、日本は一五三ヵ国中一二一位と、過去最低に転落しました。

出口 僕は、この数字が日本の現状を象徴していると思います。経済の低迷と少子化は日本が抱える二大問題ですよね。その両方とも、根っこにあるのは男女差別です。
 まず経済について。数字を挙げると、購買力平価で見た国民一人当たりGDPはアメリカがざっと六万三〇〇〇ドル、ドイツが五万三〇〇〇ドルに対し、日本は四万三〇〇〇ドルです。これはG7では下位。それに過去五年間の伸び率も両国より低い。つまり米欧日という三つの経済先進地域の中で日本だけが置き去りにされているわけです。それにアジアでも、シンガポールや香港はもちろん、台湾にも大きく水を開けられてトップ五にも入れていません。
 伸び悩んでいる理由は明らかです。日本を含めて、世界はサービス産業化していますよね。ではそのユーザーは誰かといえば、どんな統計を見てもだいたい七割は女性です。ところが、産業の担い手が男性ばかりだとすれば、需給ギャップは自然と広がりますよね。要するに、日本経済を支えていると自負している五十~六十歳代のおじさんに、ユーザーである女性の欲しいものがわかるんですか、と。
 だからおよそ一三〇の国では、クオータ制(一定数を女性に割り当てる制度)を取り入れて女性を登用しているのです。それは男女差別をなくす意味もありますが、この需給ギャップを埋めないと経済が伸びないからですよ。
 それから少子化について。これはひとえに男女差別のアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が原因です。例えば、いまだに育児や家事や介護を手伝う男性を称える風潮がありますよね。しかし「手伝う」という発想自体が、本来は女性がやるべき仕事だ、という前提があるわけです。こんな偏見に満ちた社会で、どうして女性が安心して赤ちゃんを産もうと思うでしょうか。産めば自分の負担が増えるだけですからね。
 だから経済活性化、そして少子化克服のために、まず男女差別をなくすことが一里塚だと思います。一二一位ということは、まだ一〇〇番以上上がる余地があるわけで、打つ手はいろいろありますよね。

村木 一二一位もショックですが、加えて問題なのはその順位がずるずると下がり続けていることです。ちょうど政府が「女性活躍」に向けて政策的に努力し始めた時期、一瞬改善するかに見えたのに、やはり後退が止まらない。
 私は役所に勤めていたとき、担当部局に理由を問い合わせたことがあるんです。日本はどうしてダメなんですかと。そのときの事務局からの返答を、今も忘れません。「日本は良くなっています。でも他の国はもっと速いスピードで良くなっているんです」と。つまり日本は変化のスピードが圧倒的に遅い。それが非常に大きな課題かなと思いますね。
 ではなぜ遅いのか。それは出口先生の言われたとおりですが、私の言葉で言えば男性の意識改革ができていないから。女性活躍を前に進めるなら、まず変わるべきは男性の働き方であり、家庭生活であると思います。政治も企業もとにかく女性に働きかければいいという発想が強いですが、そこが根本ではないんです。

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