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岩田健太郎 合理的にリスクを取って豊かな日常生活を

岩田健太郎(神戸大学都市安全研究センター教授)

健康も突き詰めると不健康!?

 現在の日本では、健康はたいへん重要な価値を持つ。なかには〝健康絶対主義〟のような人もいる。そのこと自体は個人の自由なので別に構わない。ただ、社会を構成する全員が健康にならなければいけないというような風潮が蔓延するのは、かえって不自由だと思う。健康も突き詰めすぎるとむしろ健康を損なうという逆説が生じるからだ。

 例えば、路上で煙草を吸っている人を見るだけで、胸がドキドキしたり、頭がカーッとしてしまう人がいるとすれば、それは、あまり健康な状態とは言えない。

 紫外線を浴びすぎると、たしかに皮膚癌のリスクは増すが、かといって一切太陽に当たらないというのは不健康だ。

 また、賞味期限が一日でも過ぎた食品は一切食べないという人は、いっぽうでフードロスのリスクを生んでしまっているかもしれない。「前日に賞味期限が切れたものを食べても、別にどうということはない」というくらいのおおらかな気持ちでいたほうが、案外長生きできるのではないだろうか。

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