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「未来を選択する会議」が目指すもの――人口減少時代に求められる「対話」

小林味愛(「未来を選択する会議」共同代表)

気づいた「サイレント」問題

――2017年に福島県国見町で株式会社「陽と人(ひとびと)」を設立。地元の農産物の流通をはじめ、商品開発や販売も手掛けているそうですが、大胆な転身のように見えます。起業に迷いはなかったですか。


 なかったですね。目の前にいる方のたった一人でも「ありがとう」と言ってくれるようなことができれば、それでいいと思っていました。最初の1年間は農家さんの手伝いで草刈りばかりしていました。『千と千尋の神隠し』の千尋のように。

 縁もゆかりもない県北の国見町という場所を選んだのは、直感的にビビッと来たからです。それから、福島といっても当時の浜通りにはまだ入れなかったし、逆に会津地方にはすでに若い人がたくさんいたし、県南は郡山市の経済圏です。ところが国見町が位置する県北は、復興支援からも漏れていて、若い人も出ていくばかりで入ってこない。まして起業する人もいません。だったら私でも役に立てるかなと。


(『中央公論』2026年1月号では、福島で企業して気付いたことや、「会議」で取り組みたい課題や抱負についても語っている。)


構成:島田栄昭

中央公論 2026年1月号
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小林味愛(「未来を選択する会議」共同代表)
〔こばやしみあい〕
1987年東京都立川市生まれ。慶應義塾大学を卒業後、衆議院事務局に入局。経済産業省へ出向後、退職。コンサルティング企業を経て、株式会社陽と人(ひとびと)を設立。2025年10月、公益財団法人日本生産性本部が事務局を務める「未来を選択する会議」共同代表に就任。
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